エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

祝福

その人は黒い半袖のパーカーを着ていた。

七分丈のグレーのスラックス。ソールの厚いごつめのスニーカー。黒いマスクで目元は一重。長めの前髪に刈り上げた襟足。かまいたちの濱家に少し似ていた。

 


まじまじと彼の姿を見ながらお互いのズボンを脱がせあった。彼のパンツはとても薄い生地の黒色。硬くなったそれが透けて見える。

 


しばらくは乳首を触りあったり、お互いのものを撫であっていた。この人はキスが嫌いな人なのかなと思っていた。しかし、唾でお互いのものを濡らして重ねあっているうちに彼もマスクを取ってくれた。貪るようなキスだった。その人のキスは少し青臭いような何かの味がしたのだけど、何か思いだせなかった。彼の顔からは昔ニキビで悩まされたのだろう凹凸が見てとれた。愛おしいと思った。

 


僕だけがイかせてもらった。別れ際に抱きつくとおでこにキスをして頭を撫でてくれた。まるで神さまの祝福みたいだった。