エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

人間便器

久しぶりに会ったその人はずいぶん太っていた。目が合ったけど無視した。歩けば誰かに触れてしまうほど通路にぎっしり人がいたので、他の人とやりたいと思った。お尻を撫でられても素知らぬフリ。しかし誰も僕と視線を交してくれないので、仕方なくその男と個室に入った。

その人とは連絡先を交換し、部屋にまで行ったこともあった。洗濯乾燥機がガタガタと音を立てている横で、フェラさせられたなあ。ということを穴に指を入れられながら思い出した。穴にちんぽを擦りつけられ、犯したいと言われた。穴に入れる指を増やしてきたのでやめてほしいと断り、しごき合いでイッた。キスをして個室を出た。なんか嫌だな、もう嫌だな。何が嫌なのかもう分からないけど。

 

 

 

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雑居ビルの一室、僕は男を買いにきた。待合室にいると、ちょうど出勤時間なのかぞろぞろとスタッフが事務所のドアを叩いた。受付の男に声をかけると、下の階で予約してと言われた。下の階?疑問に思いつつ地下のフロアへと降りた。そこは発展場で階段を降る途中、妖怪のような中年が寄ってきたので手を振り払った。そいつはよろけて階段を踏み外し、十数段を転げ落ちた。床に伏した男は動かず、頭からは鮮やかな血が流れていた。人を殺してしまった、と思った。でも、こういった場所だから、うまく処理してくれるかもしれない。そういった現実的ではないことを考えつつ、防犯カメラを気にしながら顔を俯けてビルを後にした。

家に着くと、扉の前にメモが貼られていた。「今までありがとう。」という文字とアゲハ蝶のイラスト。これを書いたのは恋人か?それとも僕か?分からなかった。アゲハ蝶はそこから、ひらひらと飛び立って、気づくとあっという間に手の届かない空中にいた。

 

 

 

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この人とは以前ヤッたことがあった気もする。とてもタイプなお兄さん。一重に薄めの眉、短く刈り上げた髪。きっと学生時代はスポーツとかやってたんだろうなって雰囲気。個室に入ると身体を撫でられ、こんなタイプの人にせめられてるんだと息が荒くなった。カチカチになった僕のものに対して、彼のものはしんなりしていた。喉奥まで咥え込んでくれた。亀頭まわりを舌でなぞったり、じゅぽじゅぽと音を立てたりとテクニシャンだった。僕の唾液を飲み込むようにキスした。おでこをくっつけると、彼の高い鼻が僕の低い鼻に当たった。フェラしてくれてる彼の顔が見れないのが勿体ないと思った。

今度は僕が彼のものを咥えると、柔らかいそれがどんどんと硬度を持った。彼のおちんちんは下反りで小さめだった。硬さも芯のない硬さだった。それも可愛いなと思った。

ローションでしごいてもらい僕だけがいった。

シャワーの待ち列が長かった。その間彼のことを眺めた。暑い胸板、はりのあるおっぱい。薄く浮いた腹筋。右足にはミサンガ。

なんであんなに近くにいたのに、キスもしたのに何も見えてなかったな。もっと彼のことを眺めたかった。こんなにタイプではあるけれど、セックスなんてやっぱり何の意味もなかった。素晴らしい彼に僕は1ミリも近づいてはいなかった。

 

 

 

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×××で微動だにしない人がいたら、それが印だ。その人の隣に立ってチャックを下ろした。清潔な短髪。白髪混じりのグレーヘアー。厚手の素材のネイビーのスーツを纏っている。50手前くらいだろうか。ガッチリとした体つきだ。ちらりと覗くと彼は勃起したチンポを縦横にふっていた。彼に見えるよう僕もしごくそぶりをする。目があったら、そのまま個室へと向かう。

ワイシャツの上から乳首をさわる。シャツをズボンから出してその隙間から手を忍ばせる。今度は爪を立ててその突起を撫でた。

ベルトを元あった方向から逆側に押し戻す。革のベルト。光る腕時計。身につけているものが一つ一つ小綺麗で高級そうだった。会社では部長クラスの役職だろうかと想像した。

チンポは普通より少し大きめくらいで、唾液を手に垂らすとさっきまで食べていたミンティアのせいで少し冷たい感じがした。彼のものをその液体でしごく。思わず咥えたくなって、喉奥まで。亀頭の滑らかさやカリの段差のザラつきをじっくり舌で味わい尽くす。喉の奥まですべらせて、さらにねとねとした液体が込み上げてそれを使ってさらにしごいた。

いきそう。いいよ、そう心のなかで呟くと彼は黄味がかった精子を××の上に吐き出した。その様子を見ながら僕もしごいてたけどいけなかった。

「人が多いね」と部長は言って二人でその個室でやりすごした。

 


イけなかった僕はまだ誰かとやりたかった。目の合った男の後を付いて個室に入った。

少し薄めの顔。ボックス型のリュック。グレーのスーツは少しよれていた。

マスク越しにキスした。その人は早々と僕のズボンをおろしチンポを取り出した。フェラされて僕が一方的にいった。彼は精子を喉奥で受け止めて、それだけでは飽き足らず裏筋を揉んで尿道に残った精子を押し出して最後の一滴まで飲み干した。

 


口の周りをティッシュで拭くと、最後に唾をぺっと吐き出した。彼は僕の性欲を受け止める便器だった。彼は自ら人間であることをやめたがっていた。それは愛も倫理とも最も遠くにある。人間でなくなりたい、動物でありたい、モノでありたい。欲望されたいという願望。僕も彼と同じ。人間便器。