エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

8.10

隣に立ってきた男と目を見合わせた。

下に目線を移す。がちがちになっているそれが見える。

 


相手の顔をじっと見つめる。何かを伝えるように。そして個室へと向かう。男はそろりと後から続いて入ってくる。

白髪混じりの短髪、痩せ型だけど少し出たお腹、どこか子供のような顔立ちをしている。

乳首に触られる。お互いの目の中を弄り合うように見つめ合う。目の奥にある敏感な部分を視線で撫で合う。マスク越しにキスする。マスクを外す。誘惑するように唇を舐める。舌を出して、というように彼は眉毛を上げて舌を伸ばす。僕も舌を伸ばす。彼はそれを柔らかく口に含む。体の内側と内側で触れ合う。

 


そうしているうちに僕は男のベルトを片手で器用に外す。薄い生地のトランクスからそれを取り出して弄ぶ。舐めて、と男は耳元で囁く。言う通りに喉奥までそれを咥え込む。ごつごつした血管、つやつやした亀頭の滑らかさ。滑りのあるしょっぱい液体。頭の中によぎる味と情報。

 


感染して1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。尿の色は 濃いウーロン茶様であり、黄疸はまず眼球結膜(目の白目の部分)が黄色くなり、その後皮膚も黄色みを帯びてきます。中には、激しい肝炎を起こして生命を維持できない状態(肝不全)となる、いわゆる劇症肝炎になることもあります。

 


立ち上がる。唾液で手を濡らして彼のものをしごく。亀頭をぐるりと回すと腰が引けて遠くなる。それを逃がさないようにねっとりと擦る。可愛い顔して遊びまくってんだ。とまた男は囁いた。

 


お互いのものをしごく。いきそう、と僕がいうと男は手を早める。僕がイくのをみてから、男もイった。年のわりに男の発射もよく飛んだ。ティッシュペーパーをカラカラと回し精液を拭き取る。ズボンを履く。甘えるように抱き合って相手の顔をを見ると悪戯好きな子どものように、にやりと微笑んでいた。好き。この人とお互いを大切にし合う人生がどこかにあっただろうか。そう思うと同時に胸のときめきを汚い汚いゴミだまりに捨てる。

 


扉を閉めると早くチンポ洗いたいなあ、と思った。