エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

Blood,Semen,and Death

彼は勃ちが悪かった。最初はしごきあうだけ。シコシコシコシコ。見つめ合ううちにマスクを外してキスをして唾液を交換しあった。それからお互いのものをしゃぶりあった。

きっと勘違いではなく、僕たちは10年ほど前に一度会っている気がする。彼は銀行マンで仕事に打ち込んでいた。営業の仕事に最初は苦戦していたが、やっと慣れてきたのだという。外回り中に交通事故を起こし社用車をおじゃんにしてしまったと苦笑していた。

「助かって良かったですね。」


助かって良かったですね。またこうやってお互いのチンポしゃぶり合えて良かったですね。見つめ合ってクチュクチュ音を出しながら扱きあえて良かったですね。良かったですね!☺️

 

イく。彼が小声でそう言うと、放出された液体には濁った白色のなかにドス黒い赤色が混じっていた。生と死を一挙に見せつけられたようなその光景にすっかり気持ちが落ち着いてしまった。冷静な気持ちで眺めたその赤色と白色はティシュで拭われてトイレに流れた。Blood,Semen,and Death.生も死も等価。出すとこで出せば命になる1億から3億のそれを家に帰って僕も殺した。

🪱

熱帯夜は纏わりつくように湿った空気だけではなく、地面さえも息苦しく蒸し返すらしい。暗い街路樹沿の小道でアスファルトにねっとりと濡れた線状の物体が無数に転がっているのに気づく。携帯のライトを付けるとくねくねと身を捩らせ、苦しそうに地面を這いつくばっている姿がより克明に分かった。蚯蚓だった。すでに人の足で押し潰されたりしてただの黒い跡と化しているものも多く見られた。体温調節の機能をもたないそれは、地面が熱されると少しでも涼しい場所を求めて這い出てきてしまうのだという。じっと死を待つよりも生死をかけて移動いたほうが良いという理屈らしい。動かなくなった蚯蚓のひとつをダンゴムシが群がりをその身齧っていた。死に向かいながら、踠き苦しみ身を捩らせて当て所なく移動するだけの僕は、この無脊椎動物とさして変わらないのだった。

 


—————————————————————

🪱

背の低い男。うなじの刈り上げがグラデーションになったフェードカット。ジム帰りに行きます。恐らくそう書き込みしてた人。

立ちながら見せ合うと一緒に個室に入った。

彼のおちんちんは今までで5本指に入る小ささ。何か貝類を連想させる。お互いのものを扱きあう。彼は上半身裸になった。僕のモノをしゃぶる。しゃぶりながら自分のモノもしごいていた。僕のことを上目遣いで見ながら、舌をちろちろと当てる。僕の苦悶の表情が嬉しいのか、顔がにやけている。ジムに行っているだけあって、全身が引き締まっていた。筋肉で隆起した二の腕を撫でた。彼は犬が好きな玩具を咥えるように楽しそうに僕のモノをあつかっていた。イッていい?そう聞くと無言で頷く。イク。精液は彼の左目に直撃し、それだけでなく髪にかかり、顔を飛び越して地面を濡らした。やはり彼は嬉しいそうだった。頬を伝い垂れる精液を舌を伸ばし味わっていた。イッたあとの敏感な亀頭を生暖かい口で包み、口を離す。ねっとりと濡れた目で愛おしそうに肉棒を見つめ、鈴口からまだ薄く流れる精液を舐めとった。

 


—————————————————————

🪱

おすぎと千鳥のノブを足したような顔。

乳首をせめると立ってられないくらい感じてた。抱き合うと僕とやれて幸せだと言ってくれた。僕も少しだけ幸せだった。LINE交換した。

 


—————————————————————

🪱

目が合った人。おじさん。サラリーマン。

どこにでもいそう。白髪混じりの短髪。少し薄くなってきた髪。アルマーニのパンツ。一方的にしゃぶってくれた。今日はもう一回いったからイけないと言った。許可を取るでもなく動画を撮り始めた。お互いのチンポを重ねあったり、腰を振って上下するお互いのものを画面越しに眺めた。僕がイく瞬間をカメラに収めるとそそくさと個室を出た。なんか撮られ損だったかなあ。僕も撮ってやれば良かったなあ、と思った。

 


—————————————————————

🪱

ホームレスのおじさんが全裸で地べたに座り込んでいる。若い警察官が困った様子で見下ろしていた。通りかかったおばさんは自転車を停めてまで、ホームレスの裸を凝視していた。

 


—————————————————————

🪱

掲示板で声をかけられ、メールでやりとりをした。送信者の名前が本名フルネームになっていることに気づき、気まずい思いをした。待ち合わせ場所に30分遅れて到着した彼はどこにでもいそうな中年のサラリーマンだった。飾り気のない感じがノンケっぽかった。個室に入る時彼は耳元で「全裸、全裸」と囁いた。僕は言われるがままに、シャツを脱ぎ肌着を脱ぎズボンを下ろしパンツもおろした。彼は僕を一方的にせめてくれた。キスをすると柔らかく、さわやかな香りがした。キスをする近さで顔を見るとシミがあることが分かる。イッたとき精液がズボンにかかった。

 


—————————————————————

🪱

痩せ型で長身。180cmはあるだろうか。澄んだような白い肌。柔らかそうな頬。少し鷲鼻な丸い鼻先。仏頂面。睨むように僕と目を合わせた。そっと股間に手を触れる。そうすると彼も同じようにしてきた。個室に向かう。

 


個室に入ると、僕は彼の小さな乳首にそっと触れる。指を折り曲げて軽く握り、5本の指全てで上から下へとその突起に触れる。彼は立ったまま悶えて、声にならない声を漏らす。天を仰ぐ。僕は表情を変えずに彼の目を覗き込む。爪先で撫でる。カリカリと往復させる。指先で円を描くように優しく指を引く。ちゃんと立ってないきゃダメだよ。すぐに足を曲げてしまう。腕を後ろで組ませ我慢させる。

 


横になり、覆い被さる姿勢でまた責め始める。彼の足はガクガクと震えながら僕の身体をぎゅっと締め付ける。滑らかな肌の脇腹を撫で、首筋にキスする。また乳首に戻り、今度は強めに吸い、もう片方は乳輪を親指と中指で軽く引きながら人差し指で引っ掻くように責める。イキそう…乳首でいっちゃうの?そう聞くや否や彼は僕の腹に熱い液体を発射していた。初めて見た。そう言う僕をさっきみた仏頂面が嘘のようにキュートなエクボを見せて笑いながら受け流した。

××は××らしく

背が高い、今風の若い男。

マッシュっぽいけど、前髪の厚すぎない爽やかなニュアンスに男らしさを感じる。髪はほんのり茶色に染めている。ネイビーのスーツ。ネイビーのネクタイ。はっきりとした顔立ち。あまりやったことのないタイプ。

個室に入ると男はどしっと壁にもたれた。

何も言わず向かい合った僕を睨む。

彼は微動だにしない。スラックス越しにそれを撫でる。皮のベルトを外す。迷彩柄のパンツ。すっかり固くなったそれ。そうされていることが、当然だというように、僕を見つめる。僕には指一本触れない。

それを口に含む。長細い。鉛筆のようなそれ。ぶらさがるものは毛のないすべすべなタイプだった。根元まで咥えると汗ばんだ匂いがする。喉奥にガツガツて当てるとネトネトの唾液がそれに絡みつく。嗚咽しながらしゃぶる。涙が頬を伝い、顎先まで。

粘性の液体がついたそれをしごくと、彼は初めて言葉を発した「イキそう」。

床に落ちた液体をティッシュで拭って個室を後にする。

 

 

 

イキたかったので、その後あまりタイプじゃないおじさんと個室に入って抜いてもらった。さっき僕がそうされたように僕は壁にもたれ男を睨んだ。

 


顔が近づく。キスは顔を背けて断った。酒臭かった。臭くてごめんね、と言われた。

××に座り、僕のモノをしゃぶるおじさんのそれは萎えたままだった。亀頭の先端を咥えてもらったまま自分で扱いた。イキそうと言っても口をはなさなかったので、そのままイッた。おじさんは両手を合わせるごちそうさまのポーズをした。「ありがとうございます。」おじさんは何も言わず、座ったまま僕を上目遣いで見た。世を恨んだ寂しそうな目だった。

 

祝福

その人は黒い半袖のパーカーを着ていた。

七分丈のグレーのスラックス。ソールの厚いごつめのスニーカー。黒いマスクで目元は一重。長めの前髪に刈り上げた襟足。かまいたちの濱家に少し似ていた。

 


まじまじと彼の姿を見ながらお互いのズボンを脱がせあった。彼のパンツはとても薄い生地の黒色。硬くなったそれが透けて見える。

 


しばらくは乳首を触りあったり、お互いのものを撫であっていた。この人はキスが嫌いな人なのかなと思っていた。しかし、唾でお互いのものを濡らして重ねあっているうちに彼もマスクを取ってくれた。貪るようなキスだった。その人のキスは少し青臭いような何かの味がしたのだけど、何か思いだせなかった。彼の顔からは昔ニキビで悩まされたのだろう凹凸が見てとれた。愛おしいと思った。

 


僕だけがイかせてもらった。別れ際に抱きつくとおでこにキスをして頭を撫でてくれた。まるで神さまの祝福みたいだった。

8.10

隣に立ってきた男と目を見合わせた。

下に目線を移す。がちがちになっているそれが見える。

 


相手の顔をじっと見つめる。何かを伝えるように。そして個室へと向かう。男はそろりと後から続いて入ってくる。

白髪混じりの短髪、痩せ型だけど少し出たお腹、どこか子供のような顔立ちをしている。

乳首に触られる。お互いの目の中を弄り合うように見つめ合う。目の奥にある敏感な部分を視線で撫で合う。マスク越しにキスする。マスクを外す。誘惑するように唇を舐める。舌を出して、というように彼は眉毛を上げて舌を伸ばす。僕も舌を伸ばす。彼はそれを柔らかく口に含む。体の内側と内側で触れ合う。

 


そうしているうちに僕は男のベルトを片手で器用に外す。薄い生地のトランクスからそれを取り出して弄ぶ。舐めて、と男は耳元で囁く。言う通りに喉奥までそれを咥え込む。ごつごつした血管、つやつやした亀頭の滑らかさ。滑りのあるしょっぱい液体。頭の中によぎる味と情報。

 


感染して1~6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。尿の色は 濃いウーロン茶様であり、黄疸はまず眼球結膜(目の白目の部分)が黄色くなり、その後皮膚も黄色みを帯びてきます。中には、激しい肝炎を起こして生命を維持できない状態(肝不全)となる、いわゆる劇症肝炎になることもあります。

 


立ち上がる。唾液で手を濡らして彼のものをしごく。亀頭をぐるりと回すと腰が引けて遠くなる。それを逃がさないようにねっとりと擦る。可愛い顔して遊びまくってんだ。とまた男は囁いた。

 


お互いのものをしごく。いきそう、と僕がいうと男は手を早める。僕がイくのをみてから、男もイった。年のわりに男の発射もよく飛んだ。ティッシュペーパーをカラカラと回し精液を拭き取る。ズボンを履く。甘えるように抱き合って相手の顔をを見ると悪戯好きな子どものように、にやりと微笑んでいた。好き。この人とお互いを大切にし合う人生がどこかにあっただろうか。そう思うと同時に胸のときめきを汚い汚いゴミだまりに捨てる。

 


扉を閉めると早くチンポ洗いたいなあ、と思った。

モザなし顔出しトコロテン~ローションホイップ・結合部〇見え~

彼はスマホを取り出して、撮ってよいかと聞いた。返事をする前にぽこんという間抜けな音が鳴り、撮影は始まっていた。
「すぐに我慢汁がでちゃうんすよね。」彼のパンツのシミを音をたてて吸った。
僕がフェラチオする様をマジエロいとか言いながら彼はカメラ越しに眺めていた。

彼から流れるしょっぱい液を味わいながら、亀頭にキスをして上目遣いで彼を見た。
喉奥までストロークさせる。「顔はあんまり撮っちゃだめだよ。」

 

お昼ご飯に蕎麦を食べたという。キスをすると唾液からネギの風味がした。
互いに向かい合い、二人のチンポの長さを比べ合うように撮影した。ぽこん。薄暗いなかでフラッシュが光る。
「あー。エロい」そうやってにやけながら言う人懐こい笑顔を見ると、彼がすぐに見知らぬ人とも仲良くなってしまうというのもよく分かる気がした。
彼は×××の店員とひょっとした会話から懇意になり、閉店後の店内で行為に及んだのだという。また、恋人の家族と仲良くなり、母親とよく飲みに行くのだとも話していた。

「かけて欲しい」と彼は言ったので、彼の上に覆い被さるような姿勢でしごいてぶっかけた。精液は枕まで飛んで、その様子も彼は撮影していた。


目が覚めると胸のなかを隙間風が吹き荒ぶように寂しさが心に押し寄せてきた。
好きでもないのに寂しいのは、金玉には脳に繋がる神経があり、射精するとその神経が引っ張られ、センチメンタルになる気持ちになる脳内物質がでるからだ。
ずっと寂しかった。誰かと一緒にいたかった。抱き合って眠りたかった。胸の内を曝け出したかった。「でも、もう大丈夫。」

僕はあなたのことが嫌いです。

全人類の9割が無条件に好きじゃない。

全ての人が恨めしい。憎らしい。呪わしい。

自慢できる不幸もなく平凡に生きた自分も厭わしい。疎ましい。煩わしい。

 

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎


大学時代の友人が結婚するのだと聞いた。

奥手で人見知りで、飲み会で全然喋らずに、酔っ払うと一人で歌なんて歌い出して。居酒屋のバイトでヤリマンの先輩に童貞奪われて。(閉店後の職場でやったらしい)。バンドやってても彼女は大学4年間できなくて。艦これにはまって突然漫画家を目指してコミケに出たり出版社に持ち込みしたり。就活はうまくいかなくて、泣きながら親にエントリーシート書いてもらって、結局一社も就職できなかった。大学卒業後は自己啓発セミナーに通って、街で見知らぬ人に名刺渡しまくって急に明るくなったと思えば、やっぱりダメだったとか言い出して、すぐに元に戻った。東京で働くのを諦めて、地元の新潟に帰り、親のコネで入社した電気工事店へやっと落ち着いた。


そんな彼のことをいつも馬鹿にして鼻で笑ってた僕。

そのくせ何もできなくて、何も踏み出せなくて、好きなことも好きな人も僕には何ないし、誰もいないね。


結婚式の招待状、送ってもいい?

おめでとう!

お誘いありがとう。ぜひお願いします。


そんな嫌なやつの僕に、仲良しグループだったよしみでメッセージをくれた君。


結婚式場がある××市は天然のプラネタリウムと言われる××村のすぐ隣。夜中は夜空に満点の星が広がるという。


友人がひとり、またひとりと結婚していく。僕が手に入れることのできない幸せを、ひとり、またひとり。

 

僕は君のことをいつも見下していた。

結婚する彼女は平凡な可愛さで、これから家庭的な幸せを手に入れるんだね。君はできないことが、どんどんできるようになって、失敗した経験も、惨めで悔しい青春も、全て今は笑い話。

心の底から愛される人と結ばれるなんて素敵だ。おめでとう。おめでとう。

 

自分には手に入らないものを星の数のように数えて、今日は眠ります。全てを呪いながらも、今日はぐっすり眠れる気がします。さようなら。さようなら。おやすみなさい。