エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

🪱

熱帯夜は纏わりつくように湿った空気だけではなく、地面さえも息苦しく蒸し返すらしい。暗い街路樹沿の小道でアスファルトにねっとりと濡れた線状の物体が無数に転がっているのに気づく。携帯のライトを付けるとくねくねと身を捩らせ、苦しそうに地面を這いつくばっている姿がより克明に分かった。蚯蚓だった。すでに人の足で押し潰されたりしてただの黒い跡と化しているものも多く見られた。体温調節の機能をもたないそれは、地面が熱されると少しでも涼しい場所を求めて這い出てきてしまうのだという。じっと死を待つよりも生死をかけて移動いたほうが良いという理屈らしい。動かなくなった蚯蚓のひとつをダンゴムシが群がりをその身齧っていた。死に向かいながら、踠き苦しみ身を捩らせて当て所なく移動するだけの僕は、この無脊椎動物とさして変わらないのだった。

 


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背の低い男。うなじの刈り上げがグラデーションになったフェードカット。ジム帰りに行きます。恐らくそう書き込みしてた人。

立ちながら見せ合うと一緒に個室に入った。

彼のおちんちんは今までで5本指に入る小ささ。何か貝類を連想させる。お互いのものを扱きあう。彼は上半身裸になった。僕のモノをしゃぶる。しゃぶりながら自分のモノもしごいていた。僕のことを上目遣いで見ながら、舌をちろちろと当てる。僕の苦悶の表情が嬉しいのか、顔がにやけている。ジムに行っているだけあって、全身が引き締まっていた。筋肉で隆起した二の腕を撫でた。彼は犬が好きな玩具を咥えるように楽しそうに僕のモノをあつかっていた。イッていい?そう聞くと無言で頷く。イク。精液は彼の左目に直撃し、それだけでなく髪にかかり、顔を飛び越して地面を濡らした。やはり彼は嬉しいそうだった。頬を伝い垂れる精液を舌を伸ばし味わっていた。イッたあとの敏感な亀頭を生暖かい口で包み、口を離す。ねっとりと濡れた目で愛おしそうに肉棒を見つめ、鈴口からまだ薄く流れる精液を舐めとった。

 


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おすぎと千鳥のノブを足したような顔。

乳首をせめると立ってられないくらい感じてた。抱き合うと僕とやれて幸せだと言ってくれた。僕も少しだけ幸せだった。LINE交換した。

 


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目が合った人。おじさん。サラリーマン。

どこにでもいそう。白髪混じりの短髪。少し薄くなってきた髪。アルマーニのパンツ。一方的にしゃぶってくれた。今日はもう一回いったからイけないと言った。許可を取るでもなく動画を撮り始めた。お互いのチンポを重ねあったり、腰を振って上下するお互いのものを画面越しに眺めた。僕がイく瞬間をカメラに収めるとそそくさと個室を出た。なんか撮られ損だったかなあ。僕も撮ってやれば良かったなあ、と思った。

 


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ホームレスのおじさんが全裸で地べたに座り込んでいる。若い警察官が困った様子で見下ろしていた。通りかかったおばさんは自転車を停めてまで、ホームレスの裸を凝視していた。

 


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掲示板で声をかけられ、メールでやりとりをした。送信者の名前が本名フルネームになっていることに気づき、気まずい思いをした。待ち合わせ場所に30分遅れて到着した彼はどこにでもいそうな中年のサラリーマンだった。飾り気のない感じがノンケっぽかった。個室に入る時彼は耳元で「全裸、全裸」と囁いた。僕は言われるがままに、シャツを脱ぎ肌着を脱ぎズボンを下ろしパンツもおろした。彼は僕を一方的にせめてくれた。キスをすると柔らかく、さわやかな香りがした。キスをする近さで顔を見るとシミがあることが分かる。イッたとき精液がズボンにかかった。

 


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痩せ型で長身。180cmはあるだろうか。澄んだような白い肌。柔らかそうな頬。少し鷲鼻な丸い鼻先。仏頂面。睨むように僕と目を合わせた。そっと股間に手を触れる。そうすると彼も同じようにしてきた。個室に向かう。

 


個室に入ると、僕は彼の小さな乳首にそっと触れる。指を折り曲げて軽く握り、5本の指全てで上から下へとその突起に触れる。彼は立ったまま悶えて、声にならない声を漏らす。天を仰ぐ。僕は表情を変えずに彼の目を覗き込む。爪先で撫でる。カリカリと往復させる。指先で円を描くように優しく指を引く。ちゃんと立ってないきゃダメだよ。すぐに足を曲げてしまう。腕を後ろで組ませ我慢させる。

 


横になり、覆い被さる姿勢でまた責め始める。彼の足はガクガクと震えながら僕の身体をぎゅっと締め付ける。滑らかな肌の脇腹を撫で、首筋にキスする。また乳首に戻り、今度は強めに吸い、もう片方は乳輪を親指と中指で軽く引きながら人差し指で引っ掻くように責める。イキそう…乳首でいっちゃうの?そう聞くや否や彼は僕の腹に熱い液体を発射していた。初めて見た。そう言う僕をさっきみた仏頂面が嘘のようにキュートなエクボを見せて笑いながら受け流した。