僕はあなたのことが嫌いです。
全人類の9割が無条件に好きじゃない。
全ての人が恨めしい。憎らしい。呪わしい。
自慢できる不幸もなく平凡に生きた自分も厭わしい。疎ましい。煩わしい。
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大学時代の友人が結婚するのだと聞いた。
奥手で人見知りで、飲み会で全然喋らずに、酔っ払うと一人で歌なんて歌い出して。居酒屋のバイトでヤリマンの先輩に童貞奪われて。(閉店後の職場でやったらしい)。バンドやってても彼女は大学4年間できなくて。艦これにはまって突然漫画家を目指してコミケに出たり出版社に持ち込みしたり。就活はうまくいかなくて、泣きながら親にエントリーシート書いてもらって、結局一社も就職できなかった。大学卒業後は自己啓発セミナーに通って、街で見知らぬ人に名刺渡しまくって急に明るくなったと思えば、やっぱりダメだったとか言い出して、すぐに元に戻った。東京で働くのを諦めて、地元の新潟に帰り、親のコネで入社した電気工事店へやっと落ち着いた。
そんな彼のことをいつも馬鹿にして鼻で笑ってた僕。
そのくせ何もできなくて、何も踏み出せなくて、好きなことも好きな人も僕には何ないし、誰もいないね。
結婚式の招待状、送ってもいい?
おめでとう!
お誘いありがとう。ぜひお願いします。
そんな嫌なやつの僕に、仲良しグループだったよしみでメッセージをくれた君。
結婚式場がある××市は天然のプラネタリウムと言われる××村のすぐ隣。夜中は夜空に満点の星が広がるという。
友人がひとり、またひとりと結婚していく。僕が手に入れることのできない幸せを、ひとり、またひとり。
僕は君のことをいつも見下していた。
結婚する彼女は平凡な可愛さで、これから家庭的な幸せを手に入れるんだね。君はできないことが、どんどんできるようになって、失敗した経験も、惨めで悔しい青春も、全て今は笑い話。
心の底から愛される人と結ばれるなんて素敵だ。おめでとう。おめでとう。
自分には手に入らないものを星の数のように数えて、今日は眠ります。全てを呪いながらも、今日はぐっすり眠れる気がします。さようなら。さようなら。おやすみなさい。