エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

男区臭人

僕はクリスマスプレゼントを彼の枕元に置いた。彼からのお返しはきっとないだろう。彼に何か贈る価値があるだろうか。

 


今年はサンタさん来るかな。

子供の頃待ち遠しかった日々を思い出した。

まあ、プレゼントなんてさ、気持ちがあれば何もいらないのだよ。と曳かれものの小唄。彼には気持ちさえないかもしれないという現実に気づかないフリ。彼は僕に甘え尽くし、それに微塵も罪悪感なんて抱かない。

 


どんなに良い子だろうと、大人になったらサンタクロースなんて来るはずないじゃん。

 


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僕が放蕩してしまうのは、彼が僕に負い目を作るからだ。金を出しているから、経済的負担が大きいから、だから僕には他人とセックスする権利がある、自由にセックスする権利がある。と思わせてしまう彼が悪いのだ、と自分勝手な責任転嫁をする。

 


プレゼントを買ったのは彼を喜ばせるためではなく、不貞行為への償い…埋め合わせという気持ちもあったのかもしれない。どこか悪いことをしているという気持ちが便器の取れない汚れのように頭の片隅にこびりついている。いや、しかし、買うときに彼の喜ぶ顔も思い浮かべた。どんなに険悪なときでも、これを買って帰ったらきっと喜ぶだろうな、とかこの食べ物好きだったよな、とか思い浮かべてしまう。それは例えば別れても続いてしまう呪いのようにも思えた。

 


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🕕

少し休日課長に似ていた。少しクセのある長めの髪をオールバックにしていた。勃ちが悪く完全に硬くはならなかった。アルデンテ。あまり喘ぐこともなく、なんか調子悪くなっちゃった。ちょっと休憩しようと言って個室を出た。いけなかった。

 


🕡

メガネをかけた人はあまりいないのだけど、その人はフチ無しのフレームのメガネが似合っていた。痩せ型で長身、髪はツヤのある硬めのワックスでセットされていた。

若いね可愛いねなどよく喋った。

隣の個室からは、このままやるとおしっこ出ちゃうと声が漏れていた。おしっこ出ちゃうんだって。彼は笑った。

キスはダメと言った。そのせいで僕の口の中は唾液でひたひたになった。

触り方が優しくてエロいと言った。彼のものはそんなにデカくなかった。

イッた瞬間からもう亀頭を触られるのがくすぐったくてたまらないらしく、プルプル震え笑いを堪えながら僕の手を制した。

いけなかった。

 


🕖

一度通路を歩いたときにお尻を触られた。顔がタイプではなかった。誰もやれそうな人がいなかったので妥協して個室に入った。敏感な乳首からは長い毛が数本生えており新種の虫やイソギンチャクを連想させた。

彼のものは太く亀頭が特に多かった。カリパンパンでしょ。我慢汁めっちゃ出てるよと見せつけた。舐めていい?痛くない?と許可をこまめに取られた。

かけて欲しいと言われたので、体にかけた。かけたいと言われたが、嫌そうなのを察したのか顔にはかけないから、と言われた。量が多かった。お臍に入った精液が水たまりになり気持ち悪かった。

行為したタイプな人の顔は覚えていないのに、この人の顔はなぜか思い出せる。射精したのに満足できなかった。タイプじゃない人とすると自尊心が傷つくと思った。

 


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その人は目があったときから顔を顰めていた。個室に入るとお互いのチンポを握り合った。乳首を舐め、また目を合わせると鼻で笑われた。そして男は個室を出た。

 


個室の扉の隙間から繰り広げられる行為を見ていた。どうやら一人の男が横たわっており、もう一人がその上に覆いかぶさるようになりながら、乳首を撫でていた。じっと眺めていると股関に触れられた。禿げた老人がぴたりとくっつくように隣りにいた。ギョッとして逃げるように通路の奥に進んだ。後ろをちらりと振り返ると老人は一人だけ違う時の流れに身を置いているかのように異常なほどゆっくりと通路を徘徊していた。

 


別の男に手を伸ばすと彼は穢らわしいものを見るような目で僕の手を払い除けた。僕もあの老人と同じだった。

 


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そんなことがあったというのに、僕はまたその場所へ向かっていた。ちらちらと目があったのはおじさんで少し三白眼な奥二重と短いまつ毛と刈り上げた髪に引かれた。

個室に入ると乳繰りあって、リスク回避のためにあまりしないようにしているフェラチオをした。音が鳴るよう亀頭にキスをした。喉の奥までストロークさせると、僕の頭を掴み腰を振った。

キスをするとコーヒーにも少し似たタバコの香りがした。ほろ苦い香りを味わった。

 


彼は僕の中に指を入れた。指を内側に曲げ振るわせると何かが込み上げてくるように気持ちが良かった。どこが気持ちいいの?は僕の割れ目にそれを押し当ててぬるぬるのローションで濡らした。なんだか入れたい気持ちになってきた。今度開発してくれる人がいたらぜひお願いしたいものだ。

 


見つめ合いながら唇を舐めた。キスしたいの?と舌を合わせる。舌と舌が触れ合うと心地よい。めっちゃ笑ってるね。キスするとニヤけてしまう。

彼のものは年のせいかあまり固くなかったし、あまり大きくもなかった。僕だけがいかせてもらった。

 


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美味しいご飯を食べたいならレストランに行く。肩が凝ったからマッサージを受ける。髪が伸びたから美容院に行く。それぞれ、誰かが誰かに役割を求めるように、ただ僕はセックスするためにある人に会い、ある場所へいっただけ。それだけの行為を不倫だとかなんだとか言って騒ぎ立てる人の気がしれない。食事を楽しむように、美味しいものを食べるのが好きなのと同じようにセックスが好き。ある人にとってはそれが許せないことらしい。不思議だ。しかし、そう言いながらも実際には僕もどこかで罪悪感を抱えているらしい。馬鹿らしくてウケる🤣