エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

ミンティアの食べ過ぎで舌が焼けた

大して更新されていないツイッターのタイムラインを読み返す。
インスタグラム、ティックトック、ライブドアニュース、ユーチューブをぐるぐると巡る。
オリンピックの不祥事、別に知らなくて良かった豆知識、コロナウイルス拡大のニュース、最新ゲームのプレイ動画、少年漫画の考察、自己啓発本のレビュー、顔の良い男性の裸、出会い系サイトのPR広告…
雑然とした情報の断片だけが洪水のように脳に流れ込む。何一つ実になることなんてない。でもそれで良い。考えることを止めるためだけに、僕は時間を浪費する。
バッテリーの持ちが悪くなったスマートフォンが熱くなるまで、電源が切れるまでただただ画面を眺め続ける。
何も考えたくない。思考を停止させる。時間をやり過ごす。


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恋人が仕事を辞めた。人間関係がうまくいかなかったらしい。
自分のような人間は社会不適合者だからもう自殺すると言った。
もういっそのこと、そうしたほうが良いのかもしれないと思った。
彼が死んだとして、僕は一生悲しい気持ちを背負って生きていくのだろうか。分からない。
僕は洗い上げた茶碗や皿が重なる食器置を力いっぱい床に放り投げた。
こなごなになった陶器の破片がフローリングじゅうにに散らばった。
もし彼が死んだら、一緒に行った東京の各所で彼のことを思い出して少し悲しくなるのかもしれない。
「なんでそんなこと言うの。一人にしないでよ。働かなくてもいいから一緒にいてよ」
いやだな、本当は働いて欲しい。ちゃんと家賃を払って欲しい。
死ぬなんて言うのは卑怯だ。脅迫だ。止めるしかないじゃないか。
彼のスマートフォンを取り上げ、なんども地面に叩きつけた。最後は窓の外に放り投げた。
「お前が死ぬなら僕が先に死ぬから。」
台所の扉から包丁を取り出した。死ぬ気なんてさらさらないので、傷が目立たないであろう太ももに刃を当てがった。
彼は悲鳴のような声を出した。僕は彼のことが好き。自分がいなければ死んでしまう弱さが、何もできない赤ちゃんのようで可愛いから。
自分のことを必要としてくれる甘えが自己肯定感を満たしてくれるから。
「死なないで」
泣きながらそう繰り返した。心の底からそう思った。
でも同時に別に死んでもいいとも思った。とりあえず後悔しないよう精いっぱいやっとこうと思った。
鼻水をかんだティッシュを何度も投げつけた。彼は何も言わない。
彼は僕の偏った趣味の漫画や音楽をよく良いねと言ってくれた。そういうところも、一応好きなのかもしれない。
泣きつかれたので、布団に潜り込んで眠った。


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あの人は人混みが嫌いだといった。
僕は静かなところよりも雑踏のほうが好きだ。
なんだか孤独が紛れるような気がするから。


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年下の彼は女の子も好きなのだと言う。
部屋に入ると玄関には割れた植木鉢が土をこぼしていた。
テーブルの上にはプロテインやらサプリメントやらが隙間なく雑然と並んでいて、キッチンにはゴミ袋が封をされずに置かれている。
デスクの上だけが綺麗に片づけられていて、仕事で使っているのだというパソコンにはモニターが三つもついていた。
ベットに倒れ込むと彼は「好き」と言った。
可愛いだとか、声がいいだとか言ってくれた。彼は行為中なんども好きと言った。
きっと僕にとっての好きと彼にとっての好きは、まったく言葉の意味が違うのだと思った。
「いつかは女の子と結婚したいな」
「だったらこんなことしてて良いの?」
そう聞くと彼は曖昧な笑顔を浮かべていた。笑うとえくぼができた。
何度もキスをした。
高校生のころ会った年上の人に「あんまりキスすると飽きちゃうからダメ」と言われた。
それってみんな思うことなのだろうか?最近その感覚が分かってきた気がする。
帰り道、コンビニでバニラアイスにチョコレートとアーモンドを塗したやつを食べた。
一口食べて「こんなもので太るのは嫌だなあ」と思って、むき出しになったアイスの棒を地面に突き刺して捨てた。


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カフェでお茶だけしたその人は、最近恋人と別れたのだと言う。
「それなら遊び放題ですね」
「そんな遊べたたいわけじゃなくて。好きな人としかエッチなことしたくないしなあ。エッチする時点でだいぶ好きになってるし。」
そうですか。そうなんですか。ちゃんとした人は自分を安売りしないのだ。
いいなあ。自分を大切にできて。あなたに好きになってもらえたら、僕はもっと自分のことを大切にできるだろうか。


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【メモ】
・デブ
玉ねぎの匂い(よく覚えていない…)


・野外露出
10時ごろ公園に行くと思ったより人通りがあった。
大きい鉄柱のような柱の裏でズボンをおろして牛の乳しぼりの要領で彼のものを扱くと、精液が発射された。
彼が履いていたクロックスの穴に、そのべたべたの液体は流れ込んだ

・タイプな人
以前会ったタイプな人と偶然出くわした。やっぱり好みの顔だったが、以前よりも気持ちいいと思わなかった。

・の日
××××の日なのでそこに行った。男らしい顔だちで少し薄い眉と一重、犬顔でむっちりした身体に胸毛が生えていて、モテそうだなと思った。
彼のものはいまいち固くならず、僕のモノを触ってがちがちじゃんと嬉しそうだった。


・イソップ
我慢汁が出やすいらしく、スウェットの上にまでねとねとした液体が染み出していた。
感じやすいと言う割に小さい乳首が可愛かった。
一緒にシャワーを浴びたときに貸してもらったイソップの石鹸が良い匂いだった。


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何時間も寝て、目が覚めると頭がすっきりしている。
通り過ぎる出来事に湧き上がる感情をきっと僕は押さえつけている。
少し前は寂しかったけど、今は寂しくない。ただ暇だっただけなのかもしれない。
本当に僕は冷たい人間で、感情なんてもう残っていないのかもしれない。