エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

お風呂

商店街の中を進むと彼のアパートが見つかった。
戸を開けて出迎えてくれた彼は写真の印象とは少し違ったけれど、それは別にたいしたことではないと思った。
彼の部屋を眺めると、本棚には少年漫画が並び、野球の応援グッズや部屋のあちこちにはキャラクターグッズが置かれていた。
男の人の部屋って感じがして、なんだが好感が持てた。

 

少し会話をした後、僕たちは抱き合った。
体重が90kgあるという彼の身体はどこを触っても柔らかく気持ちが良かった。
でっぱったお腹もテディベアを思わせるような形でなんとなく愛くるしかった。
彼の髪からはシャンプーのいい匂いがした。
「朝、お風呂入ったばっかだからね」彼はそう言った。

僕は彼の耳にそっと息を吹きかけると彼は身を捩じらせた。僕は彼の両腕を押さえつけて、そのまま耳や首筋を舐め上げた。
色んなところが感じるんだね、可愛いね、そう言うと彼は照れたように「うるさいな~」とはにかんだ。
普段タチしかしないという彼が、そんな風に恥じらうのを見るとなんだか愛しくなった。

 

「四つん這いになって」そう言うと彼は大人しく従ってくれた。
僕は彼の足の間にぶら下がる柔らかい部分に舌を這わせ、固くなったものを扱いた。
すごいね、恥ずかしいところ丸見えだね。そのまま彼のお尻の皺の集中する一点にまで舌を突っ込む。頭の中に大腸菌という言葉がふと過った。
彼が快感に呻く声が聞こえた。

 

行為が終わった後、一緒にお風呂に入った。
お湯がいっぱいまで入った浴槽に巨体の彼が身体を沈めると、一気に水が溢れ出した。
きっとそれでお湯の量は半分になってしまったんじゃないだろうか。
おかしな光景に僕は少し笑って、僕はほとんど入る隙間がないその四角に体を押し込んだ。
向かい合う彼と身体の色んな部分が触れ合い、浴槽のお湯は温かく、気持ちが良かった。
どうか僕が犯した色々は不貞や裏切りを、穢れを汚さをこの溢れる水のように流しさってくれませんか。
彼の味を思い出しながら、そんな風に何かに祈りたい気持ちになった。