エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

詩人

×××にいる男の人は鍛えている人が多い。
でもその筋肉のつき方はアスリートのように均整のとれたものではなく、腹筋だけ浮き出ているけど腕は細いだとか、やせ型なのに足だけ太いだとか、どこか歪な身体だった。
まるでガラパゴス諸島とか閉じられた自然のなかで独自の進化を遂げた昆虫のようだ。
僕はローションと唾液の香りが充満した、この密林で絡み合うように目の合ったある男性と個室に入った。
相手の固くなったものを触ると先端から粘性の液体が漏れ出しているのが分かる。

「おら、チンポもうぬるぬるだぜ」

向かい合って座り、ローションをつけてしごき合った。
「チンポ気持ちいいか?」
僕は普段聞きなれない卑猥な言葉におかしみを感じ、すこしはにかんだ。
卑猥な言葉で彼は性的な世界を構築した。
チンポとか○○っスみたいな男言葉はある種、詩的な言語だった。つまり…彼は詩人なのかもしれない。
彼の作る世界に浸りたかった。「チンポ気持ちいいです」僕は復唱した。
彼は僕の亀頭を包み込むように手のひら全体で触った。「やばい、気持ちいい」と僕は声を漏らした。
「ここには俺たち二人だけなんだからもっと声出していいんだよ」彼は耳元でそう囁いた。