エモ捨て場

言葉にされない気持ちの墓場

0.11%

去年の夏から放蕩を繰り返していた。でも、そろそろ辞めにしたいと思う。

一度×でやってしまったことがあった。
「薬やってるから大丈夫」「中で出していいよ」と彼は言った。
タチの感染率は0.11%らしい。宝くじを当てるくらいの確率?回数の問題ではなく、かかるときはかかるんだろう。
束の間の快楽に揺らいでしまう。正常な判断ができなくなる。もうすぐ検査の結果が分かるはずだ。

布団で抱き着く君の身体は柔らかく心地よかった。それがあれば、他になにもなくていいや、とも思った。
今ある幸福を天秤に乗せる。ぐらぐらぐらぐら。天秤はどちらに傾くだろう。僕は性行為に依存している。欲望の眼差しで見られるのが好きだ。
その視線は僕がまだ無価値ではないということを教えてくれる。性行為のために、まだ自分を保とうと思える。
頭が真っ白になるような口づけ、その時だけ色々なことを忘れられる。お互いの唾液を交換しようよ。

……キスだけで移る病気もあるのだという。
今日も僕は×××に行こうかと思案している。フェラチオしなければ、キスをしなければ大丈夫、と自分を誤魔化している。
僕はいつまで自分のことが好きになれないのだろう。そのくせ、その病気について何時間も調べたりしている。
自分を大切だと思って幸せに安住できる人がが羨ましい。自分を賭けてまで性に奔放になれる人が羨ましい。

「いいね!を送信しました。」
「いいね!を送信しました。」
「いいね!を送信しました。」
「いいね!を送信しました。」
「いいね!を送信しました。」
「いいね!を送信しました。」

「孕ませてくれますか?」「いっぱい責めてください」「じっくりやりたいです」
「ガンガン掘られたいな!」「しゃぶりたいです」「チンポ見たい」

汚らわしい言葉の数々、ありがとうございます。欲情してくれて。
「いっぱいやりましょう」「じっくり責めますね」「いい声聞かせてください」

交わった人を一文のメモで記録している。
もっと詳細に書いておけば良かったな。思っていたより忘れてしまうな。
一瞬の恋人たち、今度はもっと愛し合いたいね。

終わりにできるだろうか。終わりにする必要があるだろうか。
みんなやってるよ。大したことじゃないよ。不貞、不倫、裏切り、だから何だと言うのだろう。些細なことじゃないか。何も変わらない。
他に自分を満たせる行為が必要だ。日々の抑圧からの解放、飲み込んだ言葉を吐き出す行為。
平凡で詰まらない自分を満たす行為……そんなものあるだろうか。

 

 

【メモ帳】

キュウリ
×××で勃起したそれを見せつけてきた。
キュウリに似た彼のものを扱いていると気づかない間に生ぬるい液体が漏れ出していた。
あっと言う間だった。そのまま手を止めないでいるともうダメ…と苦悶の表情でそう言った。

ドブ川
乳首が感じるようで胸の下から指先で撫で上げるように触ると足をガクガクさせていた。
ドブ川のような口臭だった。まだイきたくないとその場を去っていった。

可愛いね
可愛いねと言ってくれたおじさん。
嬉しかったけれど、なぜだかその言葉で醒めてしまう気がした。
自分でも気をつけようと思った。

妥協
2時間ほど×××を彷徨った挙句、(恐らく相手も)妥協して個室に入った。
僕がイッた後、彼はザーメンを飲み干した。

どうすればいいの?
寸止めを続けていると「どうしたらいかせてくれるの?」と聞いてくる姿が可愛かった。
お互いのものを触りながらイッた。

時計
暗闇の中でアップルウォッチが光っていた。片手にロッカーキーと片手に時計をしていた。
一方的にいかせてくれた。

出したほうがいいよ
僕の精液を見て、何日分なの?もっとオナニーしなきゃだめだよと笑っていた。

腿裏
首筋や腿の裏を舐められるのが好きだった。
背が高い彼が快感で震える姿は愉快だった。
一方的に抜いてあげた。

吉祥寺
若いのに吉祥寺駅から徒歩×分のマンションに住んでいて、部屋も広かった。
脱毛しているのかパイパンで銭湯入るときどうしてるんだろう…?と思った。
色白できれいな顔をしていた。少し香水のいい匂いがした。
事後彼の身体に触ろうとすると止めてほしいというようなことを言われ、シャワーも浴びずそのまま帰った。

言葉責め
ちんぽ気持ちいいだろ?と彼は言った。
ちんぽという言葉は汚くて日常では使わない特別な言葉だと思った。
「またやろうね」と彼ははにかんだ。

暗闇
部屋に入って一方的に犯して欲しいというメッセージが届いた。
白いベットに横たわる彼はまるで生贄のようだった。
彼を捧げることでどんな願いが叶ったのだろう。

正月
正月早々×××に来ていた。
彼は僕のものをしゃぶったり扱いてイかせてくれた。
間がさしてラインを交換してしまい、やりたいではなく、会いたいという言葉で今でも定期的にメッセージが届く。

べろ
舌を吸うのが彼は好きなようだ。

大丈夫?
メモに残っていた言葉はそれだけで、他には何も覚えていない。

抱き締め
メモに残っていた言葉はそれだけで、他には何も覚えていない。

仏壇
一人暮らしの彼の部屋に行くと、そこには仏壇があった。
仏壇にはお盆にのったキャラメルコーンが供えられていた。
本棚には「○○革命」という本が並んでいた。
キスの最中、彼の身体を触っている最中、ちらちらと頭のなかに本棚に並んだ四文字の漢字が浮かびあがり、なかなか集中できなかった。

太眉
メモに残っていた言葉はそれだけで、他には何も覚えていない。

坊主
メモに残っていた言葉はそれだけで、他には何も覚えていない。


大きい身体でゲイにモテそうな感じだった。
出っ張った乳首を自分で弄んでいた。

ツーブロック
柔らかい身体で、泣き黒子が可愛かった。
ほぼ同時にイくことができ、満足した。


彼のそれは根本が太く、先は細くなっていてミル貝を連想させた。

倉地
友人の倉地に似ていた。少しカエルっぽい顔立ち。

すいません
イッた後、「すいません、かけちゃって」と丁寧に言う姿が可愛かった。
そういう言葉で好きになってしまう。

ゴム
黒いゴムのコックリングをしていた。
一度やったことがある人という気もした。少し出たお腹が可愛かった。
僕が先にいってしまい、勿体なかったと思った。
着替え中、腿のあたりを触り笑った彼をみてもう一度やりたいと思った。